ふだん指導していると、すべての生徒がやる気を出してがんばれるわけではありません。なかには学習目的がはっきりしない子どももいます。たとえば高校受験を念頭に置いて、小学校のうちから通塾する生徒などは当面の目標がないので、宿題の大切さや学校よりも先に進んで勉強することの意味がはじめはなかなか理解できません。目標がある生徒でも、もちろんやる気に波があります。体調や精神状態によって左右されます。学校や家庭で嫌なことがあれば、その日に塾に来てもなかなか集中できないでしょう。わたしの教室では、生徒たちの対応にはかなり気を遣っています。頻繁に講師間で話し合いをします。生徒によって対応を変えます。接し方は一様ではありません。基本にしていることは、決して怒らないこと。もちろん注意をしなければならない場面もあります。決して大きな声で怒ることはありません。淡々と根気よくがんばれるように促しています。説得する感じです。
「〈勝負脳〉の鍛え方」(林成之著/講談社現代新書)という本を読んだら、こんな箇所がありました。
『人間には自分を守りたいという自己保存の本能があります。しょっちゅう叱られていると、脳は苦しくなって、脳自身を守るために叱っている人の話を受け流すようになります。その状態が慢性化すると、だんだん人の話を真剣に聞かない脳ができあがっていきます。その結果、間違った考え方を持っても気がつかない、少し違っていても気に留めない、訓練が長続きしない、習得がなかなか難しいといった困難から逃げてしまう脳、いわば逃避脳をつくりだい結果になってしまいます。』
『さらに問題なのは、脳を守る自己保存の反応は、とくに子供もにおいて出やすいということです。叱ってばかりいる両親のもとで育った子どもは、人の話をよく聞かないことで自分の脳を守っています。親は、よい子に育てようとして叱ってといるつもりが、じつは子供をだめにするように育てているという落とし穴にはまっているのです。』
怒る、叱るということは、こわいことなのですね。決して感情的になってはいけないのですね。保護者の方がたが信頼して通わせてくださっている生徒を預かっている立場です。肝に銘じないといけません。同じ本の次のことばは忘れないようにしたいと思います。
『したがって指導者は、苦しい作業であっても、失敗した理由を一つ一つ丁寧に教え、その具体的な解決策を明らかにして訓練させることが大切なのです。』
話はかわりますが、わたしの教室の近くに、親しい知人がクリニックを開業しました。(クリニックカミオギ、原野悟院長) 原野院長は脳外科が専門で、「〈勝負脳〉の鍛え方」を書いた林成之さんともご懇意だそうです。また大学で医学生を指導していた経験も豊富で、ご自分のクリニックで月2回くらい、脳の鍛え方や発想法、ストレスの解消法などのセミナーを無料で開催しています。お近くの方は行かれてみてはいかがでしょうか。
クリニックカミオギ http://homepage3.nifty.com/kamiogi/index.htm
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